パタゴニア R1 Air フーディ実戦レビュー──秋の高山と冬の低山で“行動着”として使ってみた話

登山道具

はじめに

パタゴニアの R1 Air フーディ(R1 Air Full-Zip Hoody)を、ここ数年、冬の行動着として使っている。

僕がこの一枚を着てきたのは、9 月の富士山、11 月の久住、そして 12〜2 月の低山だ。
どれも、僕の山行の中では少しハード寄りの山になる。
本格的なアルパインや厳冬期の 3,000m というわけではないけれど、僕が普段歩いている山の中では「条件がきつめのほう」に入る山行だ。

この記事では、そういう場面での使用感から、

  • R1 Air フーディを冬の「行動着」として使ったときの温度感
  • フーディニジャケットを重ねたときの動き方と限界
  • どんな人に向いていて、どんな人には合わないか

をまとめておきたい。

先に結論を言うと、R1 Air フーディは僕にとって、

”止まって暖を取る服ではなくて、「歩き続けるための服」”だ。

冬の低山なら、ベースレイヤーの上に R1 Air フーディを着て、
風が出たらフーディニジャケットを重ねる。
この組み合わせで、僕の山行の中ではかなり広い条件をカバーできている。

ただし、風や停滞、収納性まで、全部を一枚に任せたい人には向かない。
そういう性格のウェアではないと思っている。


R1 Air フーディとはどんな一枚か

パタゴニア R1 Air フーディは、同社の「Regulator(レギュレーター)」シリーズの中でも、もっとも通気寄りに振ったテクニカルフリースだ。
クライミング、スキーツアー、冬季ハイキングなど、「動きながら体温をコントロールしたい場面」を想定して作られている。

※今のラインナップだと「R1 のフーディ」というと無印 R1 よりも、この R1 Air フルジップフーディ を指すことが多い。この記事も、R1 Air フルジップフーディの使用感を書いている。

スペックのざっくり

  • 素材:5.7oz 100%リサイクル・ポリエステルのジャカードフリース
    • 中空糸を使った「ジグザグ状」の立体ニット構造で、汗抜けと速乾性を重視した生地
  • 重量:メンズ M でおよそ 366〜369g / 12.9oz 前後
  • フィット:スリムフィット(レイヤリング前提の細身)
  • 主なディテール:
    • フルジップ
    • ヘルメットの下にも収まりやすいタイトめのフード
    • ジッパー付き胸ポケット ×1、ハンドポケット ×2
    • 裾と袖口には伸縮性のあるトリミング

生地は、昔の無印 R1 で使われていた「四角いワッフル状グリッド」ではなく、
ジグザグの畝とメッシュが交互に並ぶ立体パターンになっている。

  • 盛り上がったジグザグ部分がロフトを作って保温
  • そのあいだの“谷”が空気と湿気の抜け道になる

という仕組みで、「暖かいけれど、抜けも強い」 性格のフリースだ。


一般的なレビューの傾向

海外レビューや長期インプレを眺めると、R1 Air フーディについての評価は、だいたいこんな感じで揃っている。

良く言われているポイント

  • 高い通気性と汗処理の良さ
    • 「今まで着た中で一番呼吸するフリース」「汗をかいてもベタつきにくい」という声が多い。
  • “暖かいのに暑くなりすぎない”バランス
    • 冬のハイキングやバックカントリーで、「動いているあいだ中ちょうどいい」ミドルレイヤーとして評価されている。
  • レイヤリングのしやすさ
    • スリムフィット+フルジップで、シェルの下にもインサレーションの下にも入れやすい。
    • フードがヘルメットの下にきれいに収まる、というレビューも多い。

よく挙がる弱点・不満

  • 風に本当に弱い
    • 「ちょっとした突風でもスースーする」「単体での防風性はほぼ期待できない」といった指摘が目立つ。
  • 軽いけれど“UL的にはそこまで軽くない”
    • 366g という重量は、普通の山用フリースとしては許容範囲だが、アルファダイレクトなどと比べると「もっと軽い選択肢もある」という扱い。
  • 胸ポケットが小さい/やや嵩張る
    • 胸ポケットがスマホには少し小さい、フルジップのぶんだけクルーネックよりは嵩張る、という細かい不満もある。

R1 ファミリーの中での立ち位置

R1 という名前はシリーズ化されていて、

  • 無印 R1(グリッドフリース)のプルオーバーやジャケット
  • R1 Air(今回の Air フリース版)
  • R1 TechFace など、シェル寄りの派生

といったバリエーションが並んでいる。

その中で R1 Air フーディは、

  • R1 ファミリーの中でも最も通気性優先のミドルレイヤー
  • 「冬の高負荷アクティビティ用の汗抜け番長」的ポジション

といった立ち位置にいる。


僕が R1 Air フーディを信頼している理由

R1 Air フーディのメリット

ざっくりまとめると、僕が感じているメリットはこのあたりだ。

  • 動き出してから「ちょうどいい」に落ち着く温度感
  • 同パタゴニア・フーディニジャケットを重ねたときの完成度が高い
  • 9 月〜11 月の高山〜真冬の低山まで、シーズンを縦にまたいで使える

一番の長所は、動いているあいだの温度が安定しやすいことだ。

着始めは少しひんやりしているのに、歩き出して体が温まってくると、ゆっくり「ちょうどいい」に落ち着いていく。
汗をかいても内側がベタッと張り付く感じが少なくて、前のジッパーを少し開けたり閉めたりするだけで、細かく調整できる。

9 月の富士山でも、11 月の久住でも、真冬の低山でも、この「安定し方」はだいたい共通していた。
僕にとっては、「とりあえず行動着はこれでいいや」と思える安心感がある。

もうひとつ、フーディニジャケットとの相性もいい。
R1 Air が体のまわりに熱を作って、フーディニが風を止めてその熱を守る。
どちらか片方だけだと少し物足りないが、二枚をセットで使うと、僕の山行ではかなり信頼できるコンビになる。

季節をまたいで使えるのも、実際に感じているメリットだ。
初秋の高山から、冬の低山まで、行動着の「軸」として同じ一枚を持ち出せるのは楽だし、山支度の迷いも減る。

シーズンを通して一本、行動着の軸を決めたい人には、その意味でも選ぶ理由がある一枚だと思う。


R1 Air フーディのデメリット

デメリットを並べてしまうと、こうなる。

  • 風には弱く、シェル前提で考えた方がいい
  • 軽いわりに嵩張るので、「しまっておく服」には向かない
  • 停滞時の“ぬくぬく担当”にはならない

弱点ははっきりしている。まず、風には弱い

稜線で風が強くなったときや、立ち止まる時間が長くなったとき、R1 Air フーディ 1 枚でなんとかしようとすると、普通に冷える。
ここを誤解して「R1 Air フーディだけでどうにかしよう」と考えると、「思ったより寒い」という評価になるはずだ。
風をどうするかは、最初からシェルの仕事だと決めておいた方がいい。

もうひとつは、嵩張ることだ。

ジグザグ構造のフリースは空気を抱えて暖かくする分、潰しても元に戻ろうとする。
軽さのわりに、パッキングしたときの体積はそれなりにある。
「今日は着ないかもしれないけれど、とりあえずザックに入れておく」という使い方には、あまり向いていないと感じている。

僕はここを割り切っていて、

R1 Air フーディはザックにしまっておく服ではなくて、最初から着て歩く服

と考えている。
そう決めてしまえば、嵩張りはほとんど気にならない。
逆に、収納性まで求めるなら、もっと薄くてコンパクトに潰せるミドルレイヤーを探した方がいいと思う。

そして、止まっている時間を暖かく過ごしたい人にとっては、どうしても役不足になりがちだ。
山頂で長く座って景色を眺めたり、ゆっくりコーヒーを飲んだり。
そういう時間を快適にしたいなら、インサレーションジャケットやダウン、もっと厚手のフリースが必要になる。

R1 Air はあくまで、動いている時間の快適さを担当するポジションだと考えた方がしっくり来る。


誰にとって“ちょうどいい”のか

R1 Air フーディは誰に向いているか

「合う人」を先にイメージで書くと、こんな感じだ。

  • 冬でも「基本は歩き続ける」タイプの登山者
  • 汗をかきやすく、汗冷えをとにかく避けたい人
  • R1 Air の上からフーディニのような薄手シェルを素直に重ねられる人

R1 Air フーディが気持ちよくハマるのは、冬でも行動時間が長い人だと思う。

汗をかきやすくて、汗冷えだけは絶対に避けたい人。
初秋の高山から冬の低山まで、一本の行動着を縦に使い回したい人。
そして、R1 Air の上からフーディニのような薄手のシェルを前提に、レイヤリングを組める人。

僕自身、自分の山行の中では少しハード寄りの場面で、このパターンにずいぶん助けられてきた。

ベースレイヤーと R1 Air を着て出て、風の強さや天気を見ながらフーディニを足すかどうか決める。
このくらいシンプルな運用で、僕の中ではかなり広い条件をカバーできている。


R1 Air フーディが向いていない人

逆に、合わなさそうな人も挙げておく。

  • 歩く時間よりも、座って景色を眺める時間が長い人
  • 一枚で防風と保温の両方を求める人
  • ミドルレイヤーにも「極端な収納性」を求めている人

R1 Air フーディがあまり気持ちよく機能しないのは、こういう登り方をする人だと思う。

歩いている時間よりも、座って景色を眺めている時間の方が長い人。
一枚で風も寒さも、できるだけ全部なんとかしてほしい人。
ザックの中身を徹底的に削りたくて、ミドルレイヤーにも強い収納性を求める人。
あるいは、街着がメインで「これ一枚でそこそこ済ませたい」という感覚が強い人。

そういう使い方だと、風に負けやすいことや、そこそこ嵩張ること、止まっているときのぬくぬく感が足りないことが、きっと気になってくる。
それは R1 Air の欠点というより、役割の違いだと思う。


結びに

僕にとっての R1 Air フーディは、冬の山で「歩き続けたいとき」に手を伸ばす一枚だ。
風や停滞や収納性まで全部を背負わせるのではなく、行動中の温度を安定させる役に専念させる。

初秋の高山から真冬の低山まで、この一枚とフーディニを軸にしておけば大きく外さない。
今日はどうレイヤリングしようか、と悩む時間を減らしてくれる「基準点」として、僕のクローゼットに居座り続けている。

もちろん、すべてを任せられる万能ウェアではないし、もっと軽い選択肢や、もっと暖かい選択肢はいくらでもある。
それでも、「冬の山でちゃんと歩きたい」と思ったときに思い出すのは、今のところこのフリースだ。

その前提さえ共有できるなら、今でも十分、選ぶ理由のある一枚だと感じている。


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