Seymour Duncan 805は“作り込めるTS”だ──かけっぱなし派が語る使用記【レビュー】

ギター機材

作り込める硬質さ、現場向きのモダンTS


はじめに

Seymour Duncan 805 が気になっていて、

  • TS系を「かけっぱなしの土台」として使いたい
  • クリーンブースト〜クランチまで一本でカバーしたい
  • 3バンドEQのある“モダンTS”が実戦でどうなのか知りたい

そんな人向けのレビューです。

結論から言うと、805は

TSらしいミドルの粘りを残しつつ、
3バンドEQで追い込める “作り込める硬質なTS”

として使うと、本領を発揮する一台でした。

僕の使い方:TS系は“かけっぱなし”が基本

僕はTS系を常時ONにして使うスタイルだ。
クランチくらいの歪みを基準にして、そこにピッキングの強弱やボリューム操作で抑揚をつける。
つまりオーバードライブは“音を歪ませる”というより“土台を作る”役割に近い。

この使い方で相性が悪かったのが、1stリイシューのTS9だった。
フロントPUでの単音リードには独特の粘りと色気があって美しい。
でも裏を返せば、“フロントPU専用機”のような性格で、
リアPUのカッティングや、コードの和音感、クリーントーンでの美旋律──
そういった現代的で幅のあるアプローチにはあまり向かない。
(その一点突破の潔さこそが、このペダルの美学ではあるのだけれど)

805は違った。クランチでバッキングを支えながら、
ギターのボリュームを上げるだけで、リードにも自然に移行できるレスポンスの良さがある
かけっぱなしでも飽和せず、ダイナミクスに素直に追従する──
「土台として鳴らしっぱなしにできるTS」 という実用性が、僕にとっては大きかった。


お最初は煩雑だった3バンドEQ

805を初めて触ったとき、3バンドEQの多さに戸惑った。
TS系に慣れている身からすると、トーン1つで即音が決まるシンプルさは大きな魅力だった。

それが805になると「ロー/ミッド/ハイ」と操作が増え、
“考えてセッティングする”過程が必要になる。

でも使い込むうちに、自分の中での「定番」ができてくる。
ギターごとにミッドを少し引く/足したり、アンプに合わせてローを補う/整理したり──
そういう調整が意図的にできるようになると、むしろ805の「作り込める自由度」よくなってきた。


温度感はよりも、整理された硬質さ

音そのものについて言えば、805は**“暖かさで勝負するTS”ではない。**

Fulltone FD1 や TSV808 のような
“濃密で滑らかな倍音感” を持ったヴィンテージ寄りのTSとは、方向性が違う。

構造的にも、805はプリント基板(PCB)設計のモダン系TS。
ハンドワイヤードならではの“滲み出る質感”とはベクトルが異なる

ただ、その代わりに 805 には、

  • 整った硬質さ
  • バランスの良いコンプレッション
  • 各帯域に余白のあるEQレンジ

があって、音の輪郭が崩れないまま必要な帯域だけを触れる。

その「整理された硬質さ」と安定感は、
現場ではむしろ武器になる質感だと思っている。


クリーンブースト的に使うなら特に優秀

僕は805をクリーン〜クランチ程度に抑えて、バッキングを支える役割で使っている。
EQでコントロールし、コードを弾いても潰れず、バンドの中で気持ちよく鳴ってくれる。
TS系の中でも、こういう運用が自然にできる個体は多くない。

そして805は、ただバッキングを支えるだけではない。
ギターのボリュームを少し上げるだけで、リードもぐっと前に出てくる
手元の操作だけでクリーンからリードまでカバーできる柔軟さは、
かけっぱなし派にとってはかなり大きい。

805はリード専用のブースターではない。
“常に鳴っていてほしい音”を作り出せる、万能で柔軟なTS系だと思う。

音の使い方を曲の中で

バッキングリフはミドル寄りのTS系ドライブで、太さと粘りを重視。
リード1はハーフトーンを使い、ハイミッドが際立つ“鼻詰まり”系トーン。
後半のリード2はフロントPU+ブーストで押し出したTS系サウンドに切り替えている。

🎸録音環境
Stratocaster → BOSS BP-1W(リード2のみ)→ Seymour Duncan 805 → Volt 276 → AmpliTube

※動画ではTSらしいミドルを前に出した設定。EQ次第で抜け・厚みとも自在に調整できる。
記事ではむしろ、TS色を抑えたクリーンブースト的な使い方を推している。

BP-1W単体の使い方やセッティングについては、こちらのレビューで詳しく書いています。
👉 BOSS BP-1W|音が立ち上がる。僕のプリアンプ的ブースター――ヘビーユーザーの実践的レビュー

結論:805は「作り込める硬質なTS」

805は、

  • 暖かさ重視のヴィンテージTSを求める人
  • つまみ一つで即答がほしい人

──には向いていない。
でも、

  • 自分の音のゴールがなんとなく見えてきている人
  • TSのミッド偏重サウンドに限界を感じている人
  • バッキングやクリーンブーストでも使えるTSを探している人

──こういうギタリストにとっては、805はかなり有力な選択肢になる。

Seymour Duncan 805は、“すぐに気持ちいい”魔法のペダルじゃない。
けれど、**作り込みを楽しみながら、自分の音に育てていける“現場型のモダンTS”**
として、僕のボードではしっかりと居場所を確保している。


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