ルートは上高地から奥穂高への往復──その道中で初めて「足が上がらない」体験をした記録。
初めて「足が上がらない」と感じた瞬間
登山中に内腿が痛み、足が上がらなくなる──そんな経験を初めてした。
筋肉の張りやだるさなら今までもあったが、今回は明らかに違った。
「上げたいのに、上がらない」
その感覚に正直戸惑った。
ルートは上高地から奥穂高への往復。上高地から涸沢ヒュッテまでは標高差こそ大きくないが、20km近い長丁場だ。
明神や徳沢を抜け、横尾から本格的な登りに入る。道は整備されていて危険箇所は少ないが、標準的な体力は確実に求められる。この長さがのちの稜線歩きに響く。
序盤から右脚に違和感があり、涸沢を過ぎたあたりで痛みが強まり、やがて「右脚が60%くらいしか力を出せない」と感じるほどになった。左脚も張っていたが、回復は早い。左右差がはっきり出たのは、自分でも驚きだった。
内転筋疲労だけでは説明できない
たしかに内転筋は段差や岩場で酷使される。普段は鍛えにくい筋肉で疲れやすい部位だ。
しかし今回はそれだけではなかった。
- 水分・電解質不足
ポカリを飲んで食事をし、少し休むと症状が和らいだ。これは脱水や塩分不足が関わっていた証拠だ。(今回の山行では自販機もあり、現地で対応できた) - 疲労の左右差
利き足側(右)に負担が集中していた可能性が高い。登り方のクセも影響したのだろう。 - 体調リソースの不足
副業と本業に全力投球し、睡眠も浅かった。普段なら耐えられる負荷に、体がついていけなかった。
原因は**「筋肉の使いすぎ」×「水分・電解質不足」×「体調リソースの枯渇」**が重なったものだった。
特別な処置をしたわけではない。休み、食べ、水分と塩分を補っただけで回復が始まったことが、その証拠でもある。
山はコンディションの“答え合わせ”をする場所
山は、自分の生活習慣や疲労の総量を隠せない場所だ。
副業のブログ記事づくりや音楽制作、本業の夜勤──日常で体力も神経も削られ、睡眠の質が落ちていた。
その“余白のなさ”が、内腿の痛みという形で現れたのだ。
今回の出来事は事故ではなく、身体からの通知表だった。
対策として見えたこと
- 前日までに余白を作る
睡眠と疲労抜きは必須。余白を削るように仕事を詰め込んだままでは、山を心から楽しむことはできない。 - 登山中の補給を徹底する
水だけでなく、塩タブやスポドリをこまめに。電解質を意識する。 - 歩き方の修正
大股で段差を越えず、小股で刻む。ストックを使い、脚への負担を分散する。 - 下山後のリカバリー
風呂で温め、アミノ酸やタンパク質を補給し、深い睡眠で筋肉を戻す。
今回は奥穂高の山小屋でしっかり食べて眠れたことも回復を後押しした。
もしテント泊だったなら、回復はもっと難しかったかもしれない。
結び──体調を整えてこそ、山の余白は輝く
「まさかこんなことになるとは思わなかった」。
だがそれは、今の生活をそのまま映した鏡だった。
登山の醍醐味は、頂を踏むことや景色だけにあるのではない。
削られていない身体で歩き、空気や静けさを丸ごと味わうことそのものが、山の喜びだ。
これから山に向かう人には、ぜひ日常の疲れを一度降ろしてほしい。
睡眠・栄養・電解質を整え、余白のある身体で稜線に立つと、
景色も風の音も驚くほど鮮やかに響く。
山はあなたのコンディションに正直だ。その一歩を、最高の状態で刻んでほしい。
すべての記事は無料でお読みいただけます。
このリンクは「支援」のための入り口です。
小さな感謝とともに、静かな旅をつづけています。──孤岳より
※codoc(Stripe社提供)を利用しています。



コメント